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<配信スケジュール>
講演は3回シリーズで配信いたします。
Part1   2021年2月2日(火)~
Part2   2021年2月9日(火)~
Part3   2021年2月16日(火)~

  Withコロナ時代の人生会議と看取り介護        配信直前インタビュー

日本はいま、高齢化率が21%を超える「超高齢社会」ですが、次に来るのは「多死社会」であるといわれています。多死社会とは、具体的にどのような状況を指すのでしょうか。
また、多死社会においては、どのような課題が予測されるのでしょうか。
現在8割以上の国民が医療機関で亡くなっている我が国で、死者数が増え続ける中で医療機関のベッド数は減少傾向にある。そのため2040年には死に場所が定まらない47万人の看取り難民が発生する可能性があるというのが多死社会の問題点だ。人は必ず死ぬ。そしてどこであろうと死ねないということはない。そうであるにもかかわらず「看取り難民」という言葉を使う意味は、死に方が問われているという意味であり、それはとりもなおさず人として最期までどう生きるのかという、「生き方」が問われているという意味である。つまり死に場所が定まるということは、その場所で最期まで人間らしく生き続けられるということに他ならない。だからこそすべての国民が、死ぬためだけに医療機関に入院しなくて済むように、今現在の居所で安らかな最後の時間を過ごせるような支援が全ての領域で求められているのである。それが看取り介護であり、看取り介護は死の支援ではなく、最期の瞬間まで尊厳が保証され、安らかに生き続けることができる支援行為なのだ。
今回のコロナにより、病院や介護施設で家族との面会が制限されるなど様々な制約が課され、終末期や看取りにおいてもこれまでとは状況が一変する事態となりました。どのような最期を迎えたいか、どのような看取りなら悔いが残らないのか、あらためて考えさせられる機会となりました。
看取り介護の意味の一つは、残された時間・お別れの時間を意識したエピソードづくりである。その機会を奪うような面会制限があってはならない。ネット画像を通じてのコミュニケーションだけで、今わの際のお別れが十分にできるわけがないのだ。そこでは意識が薄れている看取り介護対象者の手を、愛する家族が握りしめ、体をさすりながら非言語的コミュニケーションを交わすことが重要となる。そうした別れ際のエピソードを心に刻むことは、遺される家族にとって非常に意味深いことなのである。看取り介護という命のバトンリレーを制限する権利は誰にもないと思うべきである。
「死」について語ることは、これまでタブーとされる傾向がありましたが、「もしものとき」について話しあうことの重要性があらためて問われているように思います。厚生労働省が啓発する「人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)」についてはいかがでしょうか。
人生会議とは、自分の意思決定能力が低下する場合に備えて、あらかじめ終末期を含めた今後の医療や介護について、本人と家族が医療者や介護提供者などと一緒に話し合って考えておき、本人に代わって意思決定をする人も決めておく過程(プロセス)を意味している。死を語ることの偏見やタブー意識をなくしていく先に、「自分の命が不治かつ人生の終末期であれば、延命措置を施さないでほしい」というリビングウイルの宣言が、ごく当たり前に行われる社会が実現するかもしれないという意義を感じてほしい。「終活セミナー」が各地で開催されその必要性が認識されつつある中で、人生会議も徐々に実施する回数が増えているが、コロナ禍で終活セミナーが開催できないのが残念でならない。そして新型コロナウイルス感染症によって、リビングウイルの宣言もできないまま、人生を終えていく人が増えている現状が残念でならない。
厳しい現状ではありますが、「看取り介護」に携わる介護スタッフの方々へのアドバイスをお願い致します。
看取り介護に関わる者は、終末期に起きる身体状況の変化に対応する知識などを備え置く必要はあるが、それはあくまで介護の知識であって、看取り介護の知識ではないことを知らねばならない。私たちが向かい合う人が、すべて看取り介護を受けて死を迎えるわけではなく、私たちは急死・突然死にも向かい合う必要があるからだ。そして看取り介護とは、病状等が回復不能な状態で、かつ延命治療を行わずに概ね半年以内に死を迎えると予測される人に対して行われる介護を意味していることを理解する必要がある。そこで求められるのは、死期が迫ってくるという不安を抱える人の心の支えとなるともに、リビングウイルの視点から苦痛取り除くための医療サービスを結び付けながら、安心と安楽のうちに最期の瞬間を迎える過程を支える日常支援であり、特別な介護ではないという理解も必要だ。
ありがとうございました。それでは、より詳しい講義を、2月2日から配信するCareTEX365オンラインの菊地雅洋氏のウェビナー『Withコロナ時代の人生会議と看取り介護』にて是非ご覧ください!


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